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手嶋龍一 ウルトラ・ダラー [日記(2010)]

ウルトラ・ダラー (新潮文庫)
  作者の手嶋龍一は、元NHKのワシントン支局長。『ウルトラ・ダラー』は国際経済のノンフィクションかと思ったのですが、北朝鮮による偽ドル紙幣偽造を扱った小説です。

 佐藤優が巻末の解説で、

 冷戦後、日本人によって書かれた初のインテリジェンス小説

 と持ち上げています。佐藤優によれば、インテリジェンス小説とは『公開情報や秘密情報を精査、分析して、近未来に起こるであろう出来事を描く小説』ということの様です。

 本書は英国の諜報員でBBC日本特派員スティーブンを主人公に、精巧な偽ドル紙幣を偽造する北朝鮮の謀略を暴くストーリーを軸に、アメリカ財務省の諜報員、偽札検知機メーカーの社長、外務官僚など多彩な脇役を配しています。これに、小泉首相の電撃的な日朝首脳会談と拉致被害者の帰国のインサイ・ドストーリー、外務官僚の確執をからませるあたりは、ジャーナリストとしての作者の腕の見せ所でしょう。

 『事実は小説より奇なり』という言葉がありますが、小説にすることで、いかにもありそうな話になってしまっていることは残念です。男女の密会写真が脅迫に使われたり、在日の出自が諜報のモチベーションになる辺りは、使い古された手と言えなくもありません。

 もう一つ気になるのは、各所に散りばめられた日本趣味です。主人公である英国人の趣味が浮世絵、笛で、着物まで着て書道を嗜むのですから、外国の読者ならいざ知らず日本の読者にはくどすぎます。

 もう少しハードボイルドに決めて欲しかった!というのが本音です。


タグ:読書
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