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映画 戦場のメリークリスマス(1983日英豪ニュジーランド) [日記(2015)]

戦場のメリークリスマス [DVD]
 原題、 Merry Christmas, Mr. Lawrence。太平洋戦争下のジャワ島日本軍捕虜収容所を舞台に、男たちの愛と友情と葛藤が描かれます。デヴィッド・ボウイ、坂本龍一、ビートたけし、ジョニー大倉など異色の配役で『戦メリ』と称して評判になりました。かくゆう私も見に行ったのですが、監督が難解で知られる大島渚ですから、全く理解できず。今回30年振りに見て少しだけ分かったような。
 デヴィッド・ボウイと坂本龍一に幻惑されビートたけしに騙されていたようで、ロックスター、作曲家、お笑い芸人の仮面を剥ぐと、映画 『戦メリ』が見えてきそうです。

◆日本軍捕虜収容所
 太平洋戦争は、西洋と東洋の文明の衝突という側面を持っています。東洋を代表するのがヨノイ大尉(坂本龍一)とハラ軍曹( ビートたけし)。西洋を代表するのが捕虜の代表者ヒックスリー( ジャック・トンプソン)。ヒックスリーはジュネーブ協定を持ち出しますがヨノイには通じず、ヨノイにあるのは天皇絶対主義。17歳で軍隊に志願したハラを支配しているのは軍人勅諭。異質の文明を背景とした日本人と西洋人が、捕虜収容所という環境で衝突すればどうなるのか?、かけ離れた西洋と日本は理解し合えるのか?。

◆ヨノイとセリアズ
 ひとつは男同士の「愛」と言うか共感。ヨノイとセリアズ少佐(デヴィッド・ボウイ)の関係です。映画の冒頭、日本兵が捕虜にホモセクシュアルな関係を迫ったとかで、ハラに制裁を受けるシーンがあります。後、ヨノイはこの日本兵に切腹させ、関係を迫られた兵士は舌を噛み切って死にます。心中です。そうした背景で、ヨノイとセリアズのホモセクシュアルな「関係性」が描かれます。
 ヨノイは英語が堪能であり(おそらく)陸大卒のエリート。満州に転属させられたため二二六事件の決起に参加できず、死に遅れたというトラウマを抱えています。おそらく皇道派であるため戦争の本流から外され、捕虜収容所長という閑職にあるのでしょう。
 セリアズもまた、パブリックスクールからケンブリッジかオックスフォードに進学して弁護士となったエリート。英軍の中枢にいること潔しとせず前線に出、部下4人とともにゲリラ戦に志願して日本軍の捕虜になります。ロレンス中佐によると、勇敢で軍人の鑑ということです。

 ヨノイとセリアズはトラウマを抱えたエリートで、且つ死の影を纏った存在として設定されています。お互いのなかに同種のものを発見し、日本人と英国人、敵と味方という関係を超えます。ホモセクシュアルはむしろ記号だと思われます。

◆ハラとロレンス
 もうひとつが友情。ハラとロレンス中佐(トム・コンティ)です。ハラは17歳で志願兵となり、その時から命は国に捧げたという典型的な日本の下士官。捕虜収容所も、ヨノイではなくハラが実質仕切っています。
 ロレンスの背景は不明ですが、二二六事件当時東京に滞在していたことを自ら語り、日本と日本人の理解者です。日本語が話せることで、捕虜収容所の通訳兼折衝係のような役割を担っており、捕虜の代表者ヒックスリーに、オマエは日本贔屓でそれでも英国人かと言われています。従って、捕虜と日本軍の細かい折衝は、ロレンスとハラの間で処理されるわけです。この雑務の中でハラとロレンスは本音を語り合い、友情のようなものを育てるわけです。
 
 捕虜収容の建物から無線機(ラジオ)が発見され、ロレンスが犯人として拘束されます。後に、ハラは、犯人は別にいたと偽ってロレンスを釈放します。時あたかもクリスマス。ハラはサンタクロースを気取ってロレンスに釈放と云うプレゼントを施します。”Merry Christmas, Mr. Lawrence”というわけです。

◆ セリアズと弟
 セリアズのトラウマが回想として描かれます。イケメンで学業優秀なセリアズには、美声の持ち主で歌は上手いが背中に瘤のある弟がいます。兄を追ってパブリックスクールに入学した弟は、裸にされ背中の瘤をからかわれ無理やり歌わされるという手荒い歓迎に合います。助けに来てくれると期待した兄は現れず、見世物になった弟は以後歌うことを止め、弟を助けなかったことがセリアズのトラウマとなります。 これが、セリアズが軍隊に志願し自ら危険な作戦に身を投じるようになった理由だということです。

 我々は、命を国家に捧げ、捕虜を恥とする精神性や死をもって罪を償う切腹、武士道というものを了解しています。一方、西欧の観客にとっては、ハラやヨノイの言動は異質で理解の外だと思われます。日本と西欧では、捕虜収容所という支配非支配の環境で日本人と英国人が友情を結び交感し合うという理解は、温度差がありそうです。
 日本の観客にとっては、デヴィッド・ボウイ、坂本龍一、ビートたけしのインパクトが強すぎて、映画そのものが3人の後ろに隠れてしまった様に思われます。それが『戦メリ』の強みでもあり弱みでもあります。
 
 でお薦めかと言うと、『御法度』の方が面白いです。たけしも出ているし。

監督:大島渚
音楽:坂本龍一
出演:デヴィッド・ボウイ 坂本龍一 ビートたけし トム・コンティ

タグ:BSシネマ
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コメント 2

Lee

ブログコメントありがとうございました。
戦メリはそういう映画だったのですね。30年前とは思えない
教授の音楽も耳を離れません。

by Lee (2015-08-23 11:35) 

べっちゃん

オヤヂの感想ですから、あまり信用されないほうがいいです。音楽は確かにいいですね。
by べっちゃん (2015-08-28 10:17) 

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