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映画 父の祈りを(1993英愛) [日記(2011)]

父の祈りを [DVD]
 一言で言うと冤罪を晴らす映画です。
 味付けは2つ。ひとつは、無実の罪を着せられたのは北アイルランド人で罪名はIRAのテロ。捕まえたのはスコットランドヤードで裁いたのは英国の裁判所。ふたつ目は、無実の罪の囚人は父と子。

 よくも悪くも、この映画は北アイルランド、IRAというものを抜きにして語れないと思います。アイルランド、イギリスの歴史的な対立が最も先鋭的に現れた北アイルランド紛争の中で、映画のテーマとなっている『ギルドフォード・パブ爆破事件』が起こり爆破犯としてジェリー(ダニエル・デイ=ルイス)等4人、ジュリーの父ジュゼッペ(ビート・ポスルスウェイト)と叔母一家が幇助罪に問われます。
パブが爆破されて多数の死傷者が出、たまたまアイルランドからロンドンに出てきていたジェリーが犯人として捕まり、息子を心配してロンドンの妹一家に泊まった父のジュゼッペもIRAとして捕まります。このジェリー以下10人ほどがテロリストとして容疑を固められてゆく『ドラマ』は、見ていて恐ろしいというより滑稽です。誤認逮捕と裁判は、映画のセリフにもありましたが、アイルランド人と見ればIRAだと見なすイギリス側の憎しみと恐怖の連鎖以外の何ものでもありません。

 ジュリーの父ジュゼッペが収容された刑務所に、ふたりの冤罪の元となったテロの犯人が送られてきます。彼は自分が真犯人であることを自白していますが、面子のある警察はこれを握りつぶします。対処を誤って傷口を広げる典型なわけですが、そんなことはよくあることで、ここで注目すべきは、このIRAテロリストです。刑務所でもアイルランド人は差別されているわけで、このテロリストは囚人のボスを脅迫して差別を無くさせ、囚人を煽動してストライキをうち、ストに機動隊を導入した看守長にガソリンをかけて焼き殺そうとし『刑務所の中でも戦争』をしています。何と生き生きとと描かれていることかと思います。何故かジュリーはこのテロリストを激しく憎みますが、映画の作り手はある種の思い入れを持って描いているようです。

 もうひとつの父と子です。ダニエル・デイ=ルイス演じるチンピラのジェリーは、なんの感慨も湧きません。無罪を勝ち取って裁判所の正面から胸を張って出ますが、それがどうした、です。せっかくダニエル・デイ=ルイスを使っているのですから、もう少し描きようが無かったかと思います。そのはすっぱな演技がイイんだと言われればそうでしょうが。それに比べ、ジュゼッペのビート・ポスルスウェイトは、スポーツ誌で言うところの『いぶし銀』。息子を心配し、妻を愛する敬虔なクリスチャン(たぶんローマ・カトリック)。賭け屋の事務員だなんだかんだとジェリーは反抗しますが、最新のために黙々と嘆願書を作成するこの父親を結局は超えられません。面接に来た妻が『娘の首には犬の首輪が付いている、首輪の鎖の先を男が握っている』と言うのを聞いて、『幸せならそれでいいさ』と言う寂しそうな演技には、胸が詰まりました。

 エイリアン3ラスト・オブ・モヒカンユージュアル・サスペクツロスト・ワールド/ジュラシック・パークアミスタッドナイロビの蜂インセプション、名脇役でしたが今年の1月亡くなりました、残念。
 エマ・トンプソンですが、可もなく不可もなく、でも演技はうまい。

 監督の遠慮で、映画としては今ひとつの出来です。が、ピート・ポスルスウェイトIRAのテロリストでこの映画の評価が決まります(と思います)。

監督:ジム・シェリダン
出演者:ダニエル・デイ=ルイス ピート・ポスルスウェイト エマ・トンプソン

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