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ユッシ・エーズラ・オールスン 特捜部Q-知りすぎたマルコ- [日記(2019)]

特捜部Q―知りすぎたマルコ― 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 特捜部Q―知りすぎたマルコ― 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)  シリーズ5冊目!。ミステリのシリーズを読むのは、トム・ロブ・スミスのソ連国家保安省・捜査官レオを主人公とした『チャイルド44』以来です。このシリーズは、ソ連という特殊な体制下での犯罪捜査が興味の中心でした。『特捜部Q』の面白さは、なんと言ってもコペンハーゲン警察署・警部補カールと、助手のシリア人アサド、女性アシスタントのローセの絶妙なコンビネーションです。幸福度世界一位と言われますが、アンデルセンと人魚姫以外日本人にとって馴染み薄いデンマークという国が垣間見えるあたりもそのひとつです。

特捜部Qの面々
 幕開きはカメルーン。デンマーク外務省の開発援助事業の話で、特捜部Qもいよいよ海外進出かと思ったら、デンマークに戻って、イタリア移民の少年マルコと『オリバー・ツィスト』のフェイギンのような人物が登場。やっとカールが現れたと思ったら、殺人捜査課長マークスが引退しカールと犬猿の仲だったラース・ビャアンが後を継ぎ、特捜部Qには後に三人目の助手(ビャアンのスパイ)となるゴードンが現れローセを口説く始末。アサドは、ビィアンはアラブで仕事で知りあったらしい、おまけにアサドを「Q」に送り込んだのはビィアン。ビィアンはフセイン支配時代に悪名高いイラクの刑務所にいたらしくふたりはここで知り合った?。カールはひとりごちます、”アサド、いったいおもえは何者だ?”。

この男(アサド)には決してひとには明かせない秘密がある、とマルコは直感した。笑いじわ裏に鋭いナイフを隠し持っている。こんな男にはどんなスリも近づけない。この男には近づかないほうがいい。それだけは確かだ。

ストリートチルドレンとして人物眼に鋭いマルコにはアサドがこう映ります。

 カールは恋人のモーナにフラれ、女性に目のないカールは捜査で知り合った図書館員リスベトに興味津々、

リスベトが声をあげて笑った。その笑い声がカールの琴線にそっと触れた。カールはリスベトの口元に目をやった。なんだこの奇妙な気分は?
「あなたはクライメに住んでいるんでしたっけ・・・」
「いや、アレレズだ・・・」
「あら、アレズスにお住まいなの?」
「ええ、あなたも?」
「いえ、わたしはヴェアールセ・・・」
「仕事が終わるのは何時ですか?」アサドが意味ありげな笑みを浮かべている。何を考えているんだよ?

カールはリスベトを食事に誘い、その後送って行ってなるようになります。モーナに未練のあるカールは、元恋人とリスベトの間で揺れに揺れ捜査にも身が入らない有様。とミステリの本筋とは関係のない部分でけっこう楽しませてくれます。ハーディが車椅子に乗れるようになり、イェスパ、モーデン、ラウアンスも健在で、特捜部Qファンにとって滑り出しは快調。

マルコ
 カメルーンへの開発援助事業とそれを統括するデンマーク外務省の局長と参事官、局長が関与する銀行幹部が登場します。事業資金の流れに不正が発見され参事官スタークはカメルーンに出張、帰国した途端失踪。この失踪事件を特捜部Qが捜査を始めミステリはスタートします。
 本編の主人公マルコがスタークの死体を発見し、「知りすぎたマルコ」の口を封じようとする一味、逃げるマルコ、スターク失踪を追う特捜部Q、とストーリーは三つ巴で進行します。
 マルコは15歳のイタリアの不法移民、無国籍のロマ(ジプシー)。マルコは叔父のゾーイが率いる物乞、スリ、かっぱらいの窃盗集団の一員。ディケンズの『オリバー・ツィスト』そのままで、ゾーイはフェギンに当たるというわけです。マルコが窃盗団のひとりをかばったことで睨まれ、ゾーイが逃亡阻止のためマルコの足を砕き障害者にしようとしたため、窃盗団から逃亡します。逃亡途中で、マルコは横領一味の指示でゾーイの殺したスタークの死体を発見し、マルコは追われる身となります。
 マルコはゾーイから逃げるためにスタークの身元を調べ、スターク失踪事件を追うカール等特捜部Qとの接点が生まれるわけです。ストリートギャングだったマルコは、探偵にうってつけ。観察が鋭く、不法侵入、スリはお手のもの。カールのポケットから財布を盗んでメモを入れて戻し、ストーリーを進めます。
 窃盗団から逃げたマルコは、コペンハーゲンのストリートチルドレンとなって生活します。この15歳のマルコの逃亡劇が本書の見せ場のひとつ。マルコとゾーイ、スターク殺害した横領一味、特捜部Qが一本となって事件は大団円を迎えます。EUは経済とともに人の流れも規制が緩いため、こうした背景が成り立つわけでしょうね。

特捜部Qシリーズ
檻の中の女
キジ殺し
Pからのメッセージ
カルテ番号64
・知りすぎたマルコ・・・このページ
・吊された少女
・自撮りする女たち ・・・あと2作読めます!

タグ:読書
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