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今年読んだ本 [日記(2018)]





 12月になって『翔ぶが如く』で数を稼いだので、週1冊の目標が達成できました。個人的な好みで、高橋和巳、司馬遼太郎から村上春樹、浅田次郎まで新旧雑多の小説中心です。高橋和巳、司馬遼太郎は再読、再々読ですが、たいてい忘れているので面白いです。
 老眼で小さな文字が読みにくい、本棚から溢れるという問題を抱えています。前者は、kindle、後者は思い切って処分して図書館で解決しました。

【今年の実績】
50~56 司馬遼太郎 翔ぶが如く (1~6)
49 辻 邦生 安土往還記(1972新潮文庫)
48 佐藤優 十五の夏(上) (2018幻冬舎)
47 マルグリット・デュラス ヒロシマ・モナムール(2014河出書房新社)
46 司馬遼太郎 胡蝶の夢 (1)~(4)
41 なかにし礼 赤い月 上下(2003新潮文庫)
39 パスカル・メルシェ リスボンへの夜行列車(2001新潮社)
38 ロバート・ハリス 暗号機 エニグマへの挑戦(1997 新潮文庫)
37 アイノ・クーシネン 革命の堕天使たち(1992平凡社)
36 村上春樹 騎士団長殺し 第一部、第二部(2017新潮社)
34 西村淳 面白南極料理人(2011新潮文庫)
33 楊 国光 ゾルゲ、上海ニ潜入ス(2009社会評論社)
32 加藤哲郎 ゾルゲ事件 覆された神話 (2014平凡社新書)
31 浅田次郎 天子蒙塵 第一巻~第四巻(2016~2018講談社)
27 島崎藤村 夜明け前 第一部
26 司馬遼太郎 歳月
25 高橋たか子 高橋和巳の思い出(1977 構想社)
24 高橋和巳 悲の器 (1996河出文庫)
23 高橋たか子 高橋和巳という人 二十五年の後に(1997河出書..
22内藤啓子 枕詞はサッちゃん 照れやな詩人、父・阪田寛夫の人生
21 司馬遼太郎 菜の花の沖 1~6
15 司馬遼太郎 竜馬がゆく 1~7
8 高橋和巳 日本の悪霊(1966、1996河出書房)
7 坂野潤治、大野健一 明治維新 1858-1881
6 桐野夏生 夜の谷を行く(2017文藝春秋)
5 坂野潤治、大野健一 明治維新 1858-1881 (2010..
4 坂野潤治 西郷隆盛と明治維新(2013 講談社現代..
3 佐藤 剛 黄昏のビギン の物語  (2014小学館新書)
2 佐藤 剛 上を向いて歩こう (2011岩波書店)
1 森達也 A4または麻原・オウムへの新たな視点

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今年観た映画 [日記(2018)]

her/世界でひとつの彼女 [DVD] とらわれて夏 [DVD] ジェーン・ドウの解剖 [DVD] 二十四時間の情事(ヒロシマ・モナムール) HDマスターDVD








 今年は64本。NHKのBS、DVDレンタル、AmazonPrimを利用しているので旧作が中心です。面白かったものは★★★を付けましたが、あくまでも個人的趣味。今年見たなかで出色は、『二十四時間の情事』『her/世界でひとつの彼女』『とらわれて夏』。ホラーの『ジェーン・ドウの解剖』も面白かった。『エイリアン コヴェナント』『ブレードランナー2049』『沈黙 -サイレンス』も個人的にはイマイチでした。探せば旧作の中に面白い映画はまだまだありそうです。
 AmazonPrimで無料だったので、TVドラマ 『ウォーキング・デッド』『ゲーム・オブ・スローンズ』を見ましたが、これが「すこぶる」付きの面白さ、ハマりました。レンタルショップでドラマが大きく面積を占めていることも理解できます。

64 オートマタ(2014西ブルガリア)
63 デンデラ(2011日)
62 三十四丁目の奇跡(1947米)
61 偽りの忠誠 ナチスが愛した女(2016英米)
60 民子三部作、家族(1970日)、故郷(1972日)、遙かなる山の呼び声(1980日) 山田洋次
57 her/世界でひとつの彼女(2013米)スパイク・ジョーンズ★★★
56 二十四時間の情事((1959仏日))アラン・レネ★★★
55 緑の光線(1986仏)エリック・ロメール
54 いとこ同志(1959仏)クロード・シャブロル

53 ヘッドライト(1956仏)アンリ・ヴェルヌイユ
52 最高の人生のつくり方(2015米)
51 長い灰色の線(1955米)ジョン・フォード
50 駅馬車(1939米)ジョン・フォード
49 黄色いリボン (1949米)ジョン・フォード
48 サイレントヒル(2006米)
47 アパッチ砦(1948)ジョン・フォード
47 モホークの太鼓(1939米)ジョン・フォード
46 ウィッチ(2017米加)
45 はじまりへの旅(2016米)
44 ジェーン・ドウの解剖(2016米)
43 とらわれて夏(2013米)★★★
42 狩人の夜(1955米)チャールズ・ロートン★★★
41 シェーン(1953米)
40 黄金(1948米)ジョン・ヒューストン
39 交渉人(1998米)★★★
38 評決のとき(1996米)
37 はじまりのうた(2013米)★★★
36 ブルックリン(2015英米加愛)
35 郵便配達は二度ベルを鳴らす(1946米)
34 デイブレーカー(2008米豪)
33 ゲット・アウト(2017米)
32 ジャンゴ 繋がれざる者(2012米)
31 ヴィンセントが教えてくれたこと(2014米)
30 セイフヘブン(2013米)
29 フッテージ(2012米)
28 サプライズ(2011米)
27 エクスペンダブルズ (2010米)
26 沈黙 -サイレンス-(2017米):マーティン・スコセッシ
25 否定と肯定(2016英米)
24 ザ・ゲスト(2014米)
23 ロリータ(1997米)
22 42 〜世界を変えた男〜(2013米)
21 人生スイッチ(2014アルゼンチン西)★★★
20 砂上の法廷(2016米)
19 2010年(1984米)
18 ダブル・ジョパディー(1999米)
17 チャイルド44 森に消えた子供たち(2015米)
16 マリアンヌ(2016米)
15 ディスタービア(2007米)
14 ファインド・アウト(2012米)
13 山猫 イタリア語・完全復元版 (1963伊仏)ルキノ・ヴィスコンティ
12 ファミリー・プロット(1976米)
11 ダンケルク(2017英米仏蘭)
10 スター・ウォーズ/最後のジェダイ(2017米)
9 アバウト・シュミット(2002米)
8 手紙は憶えている(2015加独)
7 ブレードランナー2049 (2017米)
6 猿の惑星: 聖戦記(2017米)
5 ハンナ・アーレント(2012独仏ルクセンブルグ)
4 JSA(2000韓)
3 寒椿(1992日、東映)
2 ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります(2014米)★★★
1 エイリアン コヴェナント(2017米英)

***番外***
TVドラマ ウォーキング・デッド★★★
TVドラマ ゲーム・オブ・スローンズ★★★

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映画 オートマタ(2014西ブルガリア) [日記(2018)]

オートマタ [DVD]  Automataは自動人形、機械人形=ロボットのことです。太陽嵐によるで気候変動で酸性雨が降り地球は砂漠化し、人口は2100万人まで減少しています。人類はロボット、オートマタを作り、オートマタは荒れ果てた地球の修復から家事育児、介護まで活躍している世界です。

 アイザック・アシモフのロボット三原則というのがあります。
1)ロボットは人間に危害を加えてはならない。
2)ロボットは人間の命令に従わなければならない。
3)ロボットは1)、2)に違反しない限り自己を護らなければならない。

 『オートマタ』では、それに加えて「ロボットはロボットに改造を加えてはならない」という条項、プロトコルが加わります。ロボットを改造すると、その性能が無制に拡張され、人間に危害を加え人間の命令をきかないロボットが誕生するため、改造を禁じたわけです。

 改造されたオートマタが発見され、オートマタ販売会社のヴォーガン(アントニオ・バンデラス)が調査を始めます。ヴォーガンが「ブレードランナー」というわけです、ちなみに奥さんの名前がレイチェル。酸性雨の降る都市でヴォーガンが改造オートマタを探すシーンは『ブレードランナー』そのままです。ですが、二番煎じではなくアシモフや映画の枠組みを借りて、制限の無い人工知能の発達は何をもたらすか、その世界で人間とロボットはどんな関係を築き得るのか、を描きます。
オートマタ1.jpg オートマタ2.jpg
 プロトコルを持ったオートマタは如何に作られたのか?。かつて無制限の学習能力を持つ原初オートマタが存在し、この原初オートマタによって現在の「ロボットはロボットに改造を加えてはならない」というプロトコルを持った、逆に言うと、人間にとって都合のよいオートマタが作られたのです(従って人間には解読不能)。その後この原初オートマタは破棄され、人類は決して反逆しない従順な奴隷を手に入れたわけです。

 この破棄された原初オートマタが存在していれば…というのが映画『オートマタ』の世界です。オートマタは次々に改造され、『ターミネーター』や『マトリック』のようにロボットは人類に反旗を翻し脅威となるのか?、それとも人間とロボットは共存共栄するのか?。
 アクションも無い地味なSFですが、それなりに面白いです。

監督:ガベ・イバニェス
出演:アントニオ・バンデラス

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映画 デンデラ(2011日) [日記(2018)]

デンデラ [DVD]  浅丘ルリ子(公開当時71歳)、草笛光子(78)、倍賞美津子(65)、白川和子(64)、山本陽子(69)など往年の名女優をズラリと並べ、公開当時話題になりました。「姥捨」です。姥捨は深沢七郎の小説「楢山節考」、それを原作とした今村昌平の映画が有名です。年老いた母親を背負って山に捨てにゆく息子と捨てられる母親の、神話的世界を描いたものです。捨てられた老人たちが生き残って密かに共同体を作っていたら、というifの世界が『デンデラ』です。



デンデラ1.jpg デンデラ3.jpg
 お山参り              老婆たちの饗宴
 70歳になったカユ(浅丘ルリ子)は、ムラの掟に従って息子に背負われて山に捨てられます(お山参り)。雪に埋もれて凍死ということになる筈が、気がつくとそこは捨てられて死んだはずの村の老婆たちが暮らす村。村はデンデラと呼ばれ、100歳になるメイ(草笛光子)が棄てられた女たちを助けて作った共同体。メイは30年かけて50人もの老婆の住む共同体を作ったのです。デンデラには既存のムラのように、掟も上下関係も貧富の差も存在せず、食料は全員に平等に分配され貧しいながら飢餓もないというユートピア。
 「お山参り」によって極楽浄土に行くことが出来ると信じるカユは、不本意にも助けられデンデラに来ました。従って、デンデラに反発し、極楽よりも生きることに執着するデンデラの老婆たちを軽蔑します。老人は70歳になるとは、労働として価値が無くなり飢饉からムラを守るために山に捨てられる(口減らし)掟です。多くの老人はこの掟を受け入れ当然の勤めと考えています。なかには死ぬのを嫌ってムラに戻る老人もいます。戻ると大人たちによって責め殺されます。いずれにしろムラの人間は70歳になると死ぬ運命にあります。

歳をとることは罪だか 年寄りはクズだか (年寄りも)人だ

 と考えるメイは、デンデラの住人と共に自分達を捨てたムラに復讐をするためデンデラを作ったのです。捨てられた人々が捨てたムラに反旗を翻すわけです。まずムラ外れを家を襲い、武器の鍬や鎌を手に入れムラに攻め入るという、戦略らしきものもあります。

 当然、復讐に反対する人々もいます。掟のないデンデラでは強制はなく、恥知らずとは呼ばれるだけで基本は個人の自由意志が尊重されます。マサリ(倍賞美津子)は、復讐はメイの個人的な恨みに過ぎず、村人を殺した後どうするのかという展望に欠けていると言ってこれに反対します。マサリは、父親がムラの掟を破ったため家族を殺され、自身は片目を潰され男たちの慰みものとなった過去を持っています。ムラを憎むことはマサリが一番の筈ですが、彼女は復讐よりもデンデラを豊かにすることを選びます。
 なかなか思想的な映画、でもないですが、棄てられた老婆が力を合わせて捨てた肉親、そんな掟を作ったムラ社会を壊そうというわけです。これは面白い!。

デンデラ2.jpg デンデラ4.jpg
 浅丘ルリ子              草笛光子
 しかしそう簡単にはいきません。羆がデンデラを襲い、何人もの老婆が犠牲になり冬を越すための食料を奪われます。ムラの襲撃どころこか冬を越せなくなった老婆たちは、足を喰われた老婆を囮にして羆をおびき寄せ、ついにこれを倒します。羆と老婆たちの闘いは映画のハイライトですが、この羆は着ぐるみのため迫力に欠けます。想像力で補うしかないです(笑。羆の肉で元気を回復したデンデラの住人は村の襲撃に向かいます。ところが、途中雪崩に会いリーダーのメイと多くの老婆が亡くなり、デンデラの最終目標である復讐は潰えます。

 こうした試練を経て、デンデラに批判的だったカユは勇敢なデンデラの老婆となります。メイは、平等で上下関係もなく、リーダーのメイの復讐に反対するマサリたちの存在を認め、病人を介護するという、ムラとは異なったデンデラの組織原理を評価したわけです。
 この年は山も不作で鮭も遡上せず、飢えた羆はまたもデンデラを襲います。デンデラ存続の危機に、カユはヒカリ(山本陽子)とともに森に羆を追います。カユとヒカリは羆を倒すことができるのか?、メイは捨て身の奇策に打って出ます...。

 隠退した老人が現役の壮年に反旗を翻す話ですから、今日的でもあります。着ぐるみの羆は笑いますが、けっこう面白いです。
 原作を読みました

監督:天願大介
原作:佐藤友哉
出演:浅丘ルリ子 草笛光子 倍賞美津子 白川和子 山本陽子

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司馬遼太郎 翔ぶが如く(2) [日記(2018)]

新装版 翔ぶが如く (3) (文春文庫) 翔ぶが如く(四) (文春文庫)

続きです。
 征韓論における西郷と大久保の確執と駆け引き、岩倉の裏切りは本書前半、最大のドラマです。明治4年7/14に廃藩置県を断行し、木戸、大久保は11/12に岩倉使節団として欧米視察に出かけます。武士階級から土地と人民を取り上げるという大改革をやっておいて、後はよろしくというわけです。士族の不満を抑えてくれという申し送りをされ、残された西郷たち留守内閣はたまりません。岩倉一行の帰国は2年後の明治6年夏、その間全国の士族の不満は募り、抑えきれない西郷は「征韓」によって反政府エネルギーを開放しようとします。

 新政府首班である三条実美は西郷の圧力に屈し、岩倉使節団が帰国して後決定するという条件を付けて天皇の内諾を得てしまいます。岩倉使節団は、明治6年5月にまず大久保が帰国、7月に木戸、9月に岩倉が帰国しますが、いずれも西郷との衝突を避けるように静養と称して廟議に参加しようとはせず、征韓論は棚さらしとなります。
 10月14日廟議が開かれます。
 太政大臣・三条実美、右大臣・岩倉具視を議長に
 征韓論賛成派は、西郷隆盛(薩摩)、副島種臣(佐賀)、大木喬任 (中立?佐賀)、江藤新平 (佐賀)、板垣退助(土佐)、後藤象二郎(土佐)
 征韓論反対派は、大久保利通(薩摩)、大隈重信(佐賀)に三条、岩倉。
 @木戸孝允(長州)は、征韓論を西郷と大久保の私闘と考え病欠。(参議ではないですが、渡韓となれば陸軍を率いるはずの山県有朋は、出張と称して東京を離れる有様)
 賛成派が多いですが、この時代多数決原理はなかったようです。勅許をたてに渡(征)韓を迫る西郷と、国家財政の破綻を理由にこれに反対する大久保の一騎打ち。この日は結論が出ず翌日に持ち越されます。
 15日は廟議は、自分がいると論議しにくかろうと西郷は欠席。決着を見ず三条と岩倉の裁量によって西郷の渡(征)韓が決定します。岩倉は裏切ったことになります。問題はここから。この決定の後、西郷と大久保の間で板挟みとなった三条は心労から人事不省に陥り、天皇への奏上(勅裁)が出来なくなり、征韓論はまたも棚晒。

 この間、大久保と伊藤博文は水面下で工作し、岩倉を太政大臣代理とする勅許を得て岩倉を動かし廟議で決まった征韓をひっくり返します。23日、西郷、副島、江藤、板垣は岩倉を訪ね、天皇への奏上を迫りますが、岩倉は征韓否定の奏上をする旨を4人に伝え、征韓論は潰えます。
 武力と権謀で幕府を倒した西郷は、征韓論ではこれを一切用いません。 陸軍大将近衛都督の西郷であれば、桐野利秋が握る近衛軍を動かして太政官を乗っ取るクーデターも、策謀で三条、岩倉を味方に引き入れることも容易だった筈です。西郷は、自分が作った新政府は条理で動く政体であることを信じ、幕府に使った同じ手を使わなかった(使いたくなかった)のでしょう。武力と詐略を使えば、何のための維新であったのかということです。

 23日に西郷は東京を引き払い鹿児島に帰ります。西郷が東京にとどまると、西郷を担いで事を起こそうとする輩が現れ、西郷は東京を離れます。面白いのは、帰郷にあたって大久保を訪ねていることです。作者によると

 西郷ーあとのことは、よろしゅう頼ンみやげ申す
 大久保ーそれは吉之助どん、オイの知ったこつか。いっでんこいじゃ(いつでもこいじゃ)。いまは ちゅう大事なときにお前さァ、逃げなさる。後始末はオイせなならん。もう知ったコツか!

 ということになります。大久保は、事が紛糾するとギリギリの段階で投げ出す西郷の性癖を嘆いたわけです。伊藤博文がその場にいたようですから、たぶんそうしたやり取りは事実あったのでしょう。これが西郷大久保の別れで、以後会うことはありません。西郷の下野によって、桐野利秋、篠原国幹、別府晋介を始め多くの薩摩系兵士、警官が帰郷し、彼らが西南戦争の中核となります。川路利良、西郷従道(弟)、黒田清隆は残留組となりますが、残留組の多くが西欧を視察した「帰朝者」であり、反「征韓論」者だということは、明治維新と西南戦争を考える上で面白いです。

タグ:読書
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映画 三十四丁目の奇跡(1947米) [日記(2018)]

三十四丁目の奇跡 [DVD] FRT-081  原題、Miracle on 34th Street。サンタクロースは実在するのか?というファンタジーです。
  ニューヨーク・マンハッタン34丁目にある百貨店メイシーズが舞台(そういえば、昔行ったことがあります)。メイシーズが主催するXmasパレードの主役サンタクロースが酔っぱらい、メーシーズの社員ドリス(モーリン・オハラ)は通りがかりの老人クリス・クリングル(エドマンド・グウェン)を代役に起用します。
 ドリスは一人娘スーザン(ナタリー・ウッド)がいるシングルマザー。ドリスに近づくためにスーザンを可愛がる弁護士フレッド(ジョン・ペイン)が登場し、スーザンはサンタクロースを信じていない・・・という伏線が敷かれます。

 クリングル老人は、百貨店のオモチャ売り場でサンタクロースとして子供たちに愛嬌を振り撒き、たちまち人気者に。英語の話せないオランダの少女とオランダ語で話したことで、スーザンはクリングル老人が本物のサンタクロースだと信じるようになります。
34丁目.jpg 34丁目2.jpg
 メイシーズに売っていないオモチャの消防車が欲しい男の子に、別の百貨店を紹介したことで、メーシーズの信用が高まります。ところが、クリングル老人は自分がサンタクロースだと妄想を抱いているため、精神鑑定を受けるハメとなり、ニューヨーク市は老人がサンタクロースか否かを決める査問会まで開かれる騒ぎに発展します。クリングルを弁護するのがフレッドと、ストーリーは辻褄が合ってくることになります。クリングルの住所は北極ではなく老人ホームですから、彼がサンタクロースであるわけはないのですが、フレッドは驚くべき方法でこれを証明します(見てのお楽しみ)。ドリスとフレッドは結ばれ、スーザンはサンタクロースの存在を信じるようになり、メデタシめでたし。

 サンタクロースなんかいるわけがない、でもいて欲しいという願いを上手く生かしたX'masならではの映画。百貨店メイシーズが舞台で、サンタクロースの存在に査問会が開かれ弁護士が登場する辺りは、いかにもアメリカ映画です。たわいもないと言えばそうですが、今観ても面白いファンタジーです。

監督:ジョージ・シートン
出演:モーリン・オハラ ジョン・ペイン エドマンド・グウェン

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辻 邦生 安土往還記(1968筑摩書房、1986 埼玉福祉会) [日記(2018)]

安土往還記 (新潮文庫)  本書は、ルイス・フロイスの『日本史』の写本に綴じ込まれていた手記の体裁をとった歴史小説です。手記の著者は、氏名不詳、ジェノバ、リスボン、メキシコを経て16世紀の安土桃山時代に来日したイタリア軍人です。書き出しは1570年、私(この手記の著者、以下同じ)は、イエズス会宣教師、カブラルとオルガンティノを京都まで送り届けるため長崎島原の「口の津」に上陸します。

 『安土往還記』は、この「私」がキリスト教を保護する織田信長の軍事顧問となり、信長が長島一向一揆、長篠の戦い、石山本願寺との戦いを経て本能寺で倒れるまでを描きます。

 教科書風にいえば信長は、日本で初めて合戦で大量の鉄砲を用い、楽市楽座によって経済を活性化させ、京に兵を進め、比叡山、一向一揆、石山本願寺など旧勢力を駆逐して全国統一の緒を作った英雄、ということになっています。キリスト教を保護し、茶の湯を好み、壮麗な安土城を築くなど、秀吉とともに安土桃山文化の牽引者でもあります。
 教科書を離れると、比叡山焼き討ちでは堂宇を焼き、延暦寺の僧俗、児童、智者、上人等をことごとく首を刎ねる数千人の大虐殺を行い、長島一向一揆の制圧では信徒2万、伊賀攻めでは3万の兵や一般人を殺したと言われ、日本史上類を見ない残虐な戦国大名の顔を持っています。
 この様々な顔を持つ信長を、「私」、すなわち作者・辻邦生でもあるわけですが、「道理」と「事が成る(成す)」という言葉でひとりの人格に統合しようとします。

 仏教の聖地・比叡山を焼き討ちし僧俗を虐殺した信長は、何故キリスト教を保護したのか?。ルイス・フロイス、カブラル、オルガンティノ、ヴァリャニーノなど信長に謁見し接触のあったイエズス会の牧師が登場しますが、本書にキリスト教の教義に関する話は一切ありません。信長が保護したのは、彼らのもたらす鉄砲、天体観測機器、軍事、造船、建築、航海術です。信長が愛したのはその功利性ではなく、機器や技術の持つ合理性、「道理」であり、憎悪したのは非道理だったわけです。彼は、目に見えるものを信じ、見えないものを是とする仏教の非合理性を排除したわけです。「私」は、最新式の拳銃を信長に披露し三段銃撃戦法を語ったことによって、信長の軍事顧問となります。信長は戦で敗けても嘆くとはありません。勝敗は戦力のたか多寡にあると考え、ひたすら軍備の拡張に努めます。長篠の戦いで信長が採ったとされる三段銃撃戦法、木津川口の戦いで使った鉄甲船や大砲は「私」の進言によるものとなっています。
 信長がイエズス会を庇護した背景には、この道理とともに、布教のために命を省みず極東まで来るという宣教師たちに、自分と同質のものを嗅ぎ付けたからです。

 信長の残虐性については、「私」は荒木村重の謀反を取り上げます。信長は村重の女房衆122人を銃殺し、一族36人子供にいたるまで頸をはねています。この残虐な行為と、雨に打たれる盲目の足萎えを憐れんで木綿二十反を与えた行為の矛盾を、「事が成る(成就する)」という信長の思想で結びつけます。私は信長自身に語らせます、

 温厚な荒木よ。お前はおれの無慈悲を責め、おれの無情を責める。だが事をして成らしめることがなかったら、そのような慈悲とは、温情とは、いったい何なのか。・・・雨に打たれる盲目の足萎えの哀れさに胸をつかれることと、合戦において非情であることとは、まったく同じことなのだ。荒木よ。合戦において、真に慈悲であるとは、ただ無慈悲となることしかないのだ。

 信長は事(天下布武)を成すために合戦をしているわけで、敵に慈悲をかけることはこの大義を汚すことに他ならない。事を成すということの究極には、合戦においては敵を殲滅する無慈悲があるというのです。
 事を成すということと、雨に打たれる盲目の足萎えを哀れむことは、精神の純度においては同じだということなのでしょう。

 この合理精神が16世紀に現れたことは奇跡であり、チェザーレ・ボルジアを彷彿とさせます。半世紀前の小説ですが、現代においても通用する信長像です。

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佐藤 優 十五の夏(上) [日記(2018)]

十五の夏 上  著者は、「外務省のラスプーチン」と呼ばれた作家で「元外務省主任分析官」。「鈴木宗男事件」に連座し、外務省休職中に書いた『国家の罠』が有名です。その佐藤優氏が高校一年の夏休み(1975年)、東欧、ソ連の一人旅を2009年~に回想した旅行記です。著者が50歳を過ぎて15歳当時を振り返った旅行記ですから、記憶の掘り起こしです。旅行メモがあるようですが、掘り起こした記憶を、15歳の瑞々しい感性と捉えるか50歳のオッサンの懐古談と読むかは、人それぞれでしょう。上巻は、旅行社の親切なお姉さんと旅行を組み立てる話、スイス、西ドイツ、チェコ、ポーランド、ハンガリー(ブダペスト)、ルーマニア(ブカレスト)、キエフを経てモスクワに至る話です。

 何故ヨーロッパ、アメリカではなく東欧とソ連なのか?。著者はハンガリーのペンフレンドとモスクワ放送を訪ねることを旅の目的としていますが、いずれも社会主義国ですから、この体制に強い関心を持っていることがうかがわれます。
 この旅行記の特徴は、名所旧跡を見て回る観光旅行ではなく、異なる体制の国民、暮らしを体験することに主眼が置かれていることです。景勝地も博物館も出てきません。記述は、食べ物と出会った人々、街の様子に終始します。ワルシャワではサーカスを見物し、ブダペストでは日ソ合作映画しかも日本で見た映画を観るという、およそ海外旅行ではありえない「観光」です。食事、食べ物が詳しいです。訪れた国を生で理解したいという優君にとって、食事や料理はその国を理解するひとつの方法だったようです。この旅行記を書きながら、15歳の味覚が50歳の佐藤優氏の舌によみがえったかのようです。

 食事とともに、切符を買い、ホテルを予約し、列車バスで移動する体験も著者の瑞々しい感性で捉えられます。プラハではホテルの予約に半日、列車の切符購入に丸一日かかるなど、市民と同じ目線でその国を体験します。
 ブカレストでは散々な目に会います。指定券が無いためキエフへの列車に乗れず立ち往生。チャウシェスク体制はこんなものかというところを、観光局の職員が列車にのれなかった理由を書類にしてくれ、紅茶とクッキーをふるまってくれるなどの親切に助けられます。キエフへの列車では、乗り合わせたルーマニア人の爺さんに自家製のパンを振るまわれます。何処の国にも「悪い人もいればいい人もいる」という当たり前の出来事は、15歳の少年に何を刻んだのでしょう。

 1975年当時の高校生の感覚には、懐かしさを覚えます。優君は、サーカスの熊に受験に追いたてられる自らを重ね、ホテルでは、9月の試験のために数学の問題集と格闘します。数学は暗記だ!という辺りでは、思わず笑ってしまいました。

 下巻では新たな展開があるのかもしれませんが、『十五の夏』が面白いかと言えば、個人的にはそれほどでも。この本が1976年に出版され、中高校生が読めば面白いと思いますが、2018年にオッサンが40年前の旅行の回想を読んでも旅の感動はもうひとつ伝わって来ません。体験に基づいたジュブナイル小説なんでしょうか。
 15歳でひとり旅をしていることを知った人々は、優君に「この旅行はあなたの人生に大きな影響を与える」と言います。佐藤優氏は、この旅行が自分の人生に与えた影響を噛み締めながら書き続けたのでしょう。

タグ:読書
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大活字本(埼玉福祉会) [日記(2018)]

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 図書館の蔵書を検索していると、「大活字本」がヒットしました。老眼で小さな活字に苦労しているのでこれ幸いと申し込んでみました。なるほどデカい!。大活字本は図書館に2000冊あるようなので、当分楽しめそうです。

タグ:読書 絵日記
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映画 偽りの忠誠 ナチスが愛した女(2016英米) [日記(2018)]

偽りの忠誠 ナチスが愛した女 [DVD]  日本語タイトルは軟弱ですが、原題はThe Exception、例外。何が例外なのかなかなか含蓄のあるタイトルです。ストーリーは、ドイツ帝国(プロセイン王国)最後の皇帝、ヴィルヘルム2世とナチスの確執を軸に、親衛隊の将校とユダヤ人メイドのラブストーリーが絡みます(逆かも)。

 ヴィルヘルム2世は、第一次世界大戦に敗北しドイツ革命で皇帝の座を追われオランダに亡命、ドイツはワイマール共和国を経てナチス・ドイツとなります。『偽りの忠誠』は、ナチスがオランダを占領(1940)した頃の話です。この辺りを押さえておくと映画が面白いです。

 親衛隊大尉ブラント(ジェイ・コートニー)は護衛の名目でヴィルヘルム2世(クリストファー・プラマー)の滞在するドルーン館に派遣されます。ヒトラーは元プロセイン国王に利用価値を見出していたわけです。ブラントは館のメイド・ミーケ(リリー・ジェームズ)と恋に墜ちます。恋というより、親衛隊将校とメイド情事です。この情事が次第に恋に変わっていく辺りが見どころです。ミーケの正体はイギリスのスパイで、ヴィルヘルム2世の身辺を探りオランダからイギリスに亡命させる任を負っています。イギリスの女スパイとナチス親衛隊将校の恋、何処かで聞いたようなこの話を圧倒的存在感で支えるのがヴィルヘルム2世を演じるクリストファー・プラマー。クリストファー・プラマー無しでは、薄っぺらいラブストーリーとなっていたでしょう。かつての栄光を背負い復権を夢見るヴィルヘルム2世の矜持と悲哀がにじみ出ています。その悲哀とナチスに父親と夫を殺されスパイとなったミーケの触れ合いがストーリーのkeyとなります。

 ミーケの諜報は村の牧師によって無線でロンドンに伝えられ、この電波をゲシュタポが傍受したことでスパイの存在が明らかとなります。ブラントもまたミーケの部屋でニーチェの『善悪の彼岸』や拳銃保守の痕跡を発見し、ミーケに疑惑の目を向けます。ゲシュタポの手がミーケに向けられる時、ヒトラーの側近ヒムラー(エディ・マーサン)が館を訪れる知らせが入り、ミーケはヒムラー暗殺を決意します。ヒムラーは、ヴィルヘルム2世には復位を要請し、ブラントにはこの復位によって反ナチス勢力を炙り出そうという陰謀が告げられます。
 晩餐会の席でヒムラーはユダヤ人や弱者を抹殺する話をし、ヴィルヘルム2世とブラントは第三帝国の真の姿を垣間見させられます。このヒムラーの発言でストーリーが決定づけられ、ヴィルヘルム2世は復位を断念し、ブラントはミーケをゲシュタポから守ろうと決意します。

 ミーケがロンドン亡命を勧めるチャーチルの伝言をヴィルヘルム2世に伝え(事実のようです)、ヴィルヘルム2世はミーケがスパイであることを知り、これを断ります。ゲシュタポの追手がミーケに迫り、ブラントはミーケを助け、これにヴィルヘルム2世が絡んで大団円に向かってまっしぐら、となります。

 ヨーロッパ近代史を背景に、ナチス+サスペンス+ラブストーリーが加わったなかなか面白い佳作です。わりと地味な映画ですが、出演者は豪華、観て損はないです。

監督:デヴィッド・ルボー
出演:リリー・ジェームズ ジェイ・コートニー クリストファー・プラマー

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